「郵便でーす」
「はいはいどうも〜…あれ、辰ぼんからだ」

始まりは一通の宇宙手紙(エアメール)



飲んで呑まれて



「………」
「ああ、おはよ」
「…相変わらずつれねぇのな」
「そんなことないよー」

手紙を読むの耳を後ろから高杉の唇がくすぐるも、そっけない返事。
腰に腕が絡められて、肩の上に顎が乗せられても、されるがままで手紙から目を離さない。
片方の手が衿の隙間から滑り込もうとすると、軽くぺしっと叩かれる。

「なんだソレ?」
「んー?辰ぼんから手紙」

高杉の手が下からぬっと伸びての手から紙切れを奪う

「んだコレ…お前坂本と文通でもしてんのか?」
「文通じゃないよ。俺から向こうには送れないし…手紙来たのも久しぶりだし」
「ふーん……」

面白くなさそうな高杉は適当に目を通してに返す。

「…ちゃんと読んだ?ここ見てよほら。辰ぼん久しぶりに帰ってくるって!」
「……だから?」
「せっかく晋助もいるんだし、白髪とヅラも呼んで5人で集まろうよ。閉店後だったらここ貸切にできるしー」
「………」

悪い予想が的中して、高杉の機嫌はいよいよ悪い。
数日前に江戸へ来てから今日まで、の所に下宿して、独占欲を満たしている最中なのだから。

「なに?乗り気じゃないの?」
「たりめーだろ。別に集まる必要なんかねえよ」
「ふーん?じゃあ晋助はその間1人でどっか行ってれば。俺達4人だけでやるし」
「……ざけんな」

の腰やら腹やらを撫で回していた片手が顎を掴んで、強引に唇が合わさる。

「―ん…じゃあ決まりね。辰ぼん帰ってくるのは3日後だから、それまでに2人に連絡してー、あとは…」
「…勝手にしろ」

朝から濃いめのをぶちかましても、やっぱりは平然としていて面白くない。
そろそろ開店準備の時間になるので高杉は渋々部屋の奥に下がった。




江戸の片隅にある少し古びた喫茶店がの店。
戦前の4人の溜まり場で、とはそこで知り合い、5人でよく話したが、
そのあと戦争があってからは5人散り散りになっている。
もっとも、それぞれ個人的にの元を訪れる事はあったが…全員揃うことは今までなかった。




―というわけで、同窓会当日の夜、の店にて

「はーいみんなひっさしぶり!!」
「お〜来たあ〜!」

店の奥から準備された酒や料理が運ばれて、テーブルの上が一杯になる。

の手料理らぁて久しぶりじゃ〜」
「俺ァ毎ンち食ってるぜ」
「「「……は?」」」
「あー、今晋助うちに泊まってんの。宿取る金ないって言うからさ」
「はああァ!!?高杉おまっ……まさか!?」
「フン…まぁな…」
「何やかってええぇ!!?」
「…何もないっつうの。寝る部屋も別だもんな」
「なあんだ」
「びっくりさせるな高杉」
「………」

高杉としては何かと仕掛けているつもりだったのだが、効いていないらしく残念。

!ここ座れ!ここ!!」
「何ゆうてるんじゃ銀時!はここじゃろー!」
、ここ開いているぞ」
「んー…じゃあお帰りってことで辰ぼんの隣ー」
「よっしゃあー!!」
!あとで席替えな!な!」
「はいはい…」

久しぶりの大集合にゴタゴタしつつも、始まってみれば募る話もあるわけで。
テーブルの上の皿も酒ビンも空いた頃には、男5人、すっかりデキ上がっていた。

〜わしゃ眠くなってしもうた〜〜」
「あっははは、辰ぼんの髪の毛くすぐったいー」
「オイ坂本、調子乗んなよ」
「……何をやっているんだ銀時?」
「ん〜〜〜、できた〜!」

グズグズになりつつある空気の中、みんなが注目した先には銀時の手の中の5本の割り箸。

「王様ゲームやろうぜー!」
「えーちょっと銀時、この歳で王様ゲームって…ってオイィ!!」

が呆れている間にあっという間にクジが引かれていた。

「はい、残りは俺との。どっちがいい?」
「………」

渋々片方のクジを引く。

「王様だれじゃ?」
「はあーーーい!!」

ハイテンションで赤いクジを掲げたのは銀時。

「えっと〜〜じゃあは王様にちゅー!」
「はぁ?命令は番号でだろうが」
は何番?」
「誰が言うか!」
「えー?みんなは何番?」
「3じゃ」
「1だ」
「4」
「オイオイオイ!?」

誰も銀時にキスなどしたくないということらしい

「じゃあ2番は王様にちゅ〜」
「な…ざっけんな!!こんなんクジの意味ねえじゃねえか!」
「みんな〜、王様の命令はー?」
「「「 ぜったーい 」」」
「はいよーし。で、2番は?」
「………」

酔っ払いの集団に1人で歯向かうのは厳しすぎる。空気は完全なアウェーだった

「じゃあ王様から行っちゃうぞ〜」
「ぐわぁ!やめっ……!!」

立ち上がった銀時はテーブルの向かいに座っていたの胸倉を掴み上げて唇に噛み付く。
周りも周りで大人しく待つ…というか、自分が赤クジを引いた時の事を悶々と考えていた。

「オイコラ白髪。早くしろや」
「ん〜」
「ぶはっ、げほ…」
「ほんなら次行こうやか〜」

銀時の手から離れて力なく座り込んでしまったの手からクジを集めて、
坂本が作った束から我先にとクジが引かれる。げんなりしたは引かなかった。

「ん?余ったがは1番やき〜。ほい、の分ちゃ」
「は!?なに言ってんの辰ぼん!」
「で、王様は?」
「俺だ」

赤クジを咥えてにやりと笑ったのは高杉。

「そうだな…1番は今夜俺に付き合え」
「だっ…からコレ意味ねえだろうが!!」
「いや、今のは頂けねえぞ高杉」
「そうちゃ、反則っちゃね!」
「今この場で出来るものにしろ」

こればかりは周りからも抗議の声が上がる、が

「…テメェら。王様の命令は?」
「「「……ぜったい?」」」
「ふっ…ざけんなあああ日本は民主主義国家だぞコノヤロー!!」

付き合いきれなくなったが席を立とうとするが、なにせ奥の方に座っていたため脱出は難しく。
まず隣に居た坂本が抱き付いて止める。

「待っとおせよ〜付き合いわりぃぜよ!」
「離せ!くせ毛野郎!!」
「いたたた!!痛いぜよ〜〜」
〜大人気ないぞー、こんなんただのゲームじゃんか〜」
「そうだぞ。せっかくの楽しい酒の席なのだからな」
「ぬかせ!付き合いついでのゲームで掘られて堪るか!!」
「別に掘らせろなんて言ってねぇぞ。付き合えってだけだ」
「…だ、そうだぞ、
「…………」
「よっしゃ次やるかー!」
「もうやだあー!!!」


テキパキと束が作られて、次に赤クジを引いたのは桂。

「桂〜因みにわしゃ4番ぜよ」
「俺1ばーん」
「2番は使うなよ」
「ヅラ…!ヅラは分かってくれるよな!」
「…3番は私の為に毎朝味噌汁を作ってくれ」
「それゲームの域越えてるだろうがあああァ!!」
、味噌汁くらい作ってやれよ」
「そうぜよ〜味噌汁らぁて簡単ちゃ〜」
「いや、今のはそういう意味では…「はいじゃあ次ー!」
「え!?俺本当に味噌汁作るの!?」
「いやあの、、今のは……「早くクジ引いてー」


次。

「来よった〜〜!!わしじゃあ!、ちっくとコレ貸しとおせ」
「え?あ、ちょっと!!」
「ほんなら4番はわしと一緒に船に乗っちょきー!」
「はああ!?船に?」
「そうじゃ!わしゃおんしと一緒ならどこまでも行けるぜよ!!」
「坂本ふざけんなよ!それじゃ俺らはと会えなくなっちまうじゃねーか!」
「ほがなこと知らんもん。はわしと一緒に行くっちゃー」
「えええ、でも辰ぼん、俺はこの店が…「王様の命令はあ〜?」……ぜったい…」
「そんなら決まりやか〜!」
「あの、、私との約束は……「次行くぞー!」



その後も同じような流れが何回も続き、夜もとっぷり更けてきた頃。

「王様だれだ〜」
「………」

急に静かになった中で視線を集めたのは、赤クジでテーブルの角をコツコツ叩く
辺りが今日初めてのドキドキ感に包まれる。

はゆっくり息を吸って

「今までの約束全部無効。そして全員今すぐ帰れ」

案の定大ブーイングが起こった

。俺ァ帰る必要ねェよなァ?」
「京都に帰れ」
〜わしゃ今日の分の宿取っとらんのじゃ〜」
「宇宙の藻屑になれよ」
、私の部下には今日は帰らぬと…」
「真選組に言えば鉄製の個室を用意してくれるって」
!俺ん家今複雑なんだよ!思春期の娘が家庭内暴力をさ〜」
「真正面から向き合ってあげなさい」

「「「「 〜〜〜〜 」」」」
「 王 様 の 命 令 は ? 」
「「「「 ……ぜった〜い 」」」」


第一回同窓会、これにて閉幕。次回の予定は…未定。


thank you for 31113hit !


31113番を踏まれた久遠さんのリクエストで「攘夷メンバーの逆ハ」でした。リクエスト感謝!
なんかもうグダグダで申し訳ない…こんなんで宜しかったら受け取って下さい…あわわ

あ、辰馬+ぼんぼん=辰ぼんってどう、かな…!(笛ネタごめんなさい)
全体的に坂本の土佐弁は適当ですごめんなさい。こちらを参考にさせて頂きました。

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2005/2/19  background ©m-style