「だーかーら!俺の方が絶っっ対大きいって!!」
「何言ってんだィ。ついこの間測ったばっかだろィ」
「俺は今絶賛成長期なの!!この期間で一気に伸びたの!!」
「ふーん。だったら俺も伸びらァ」
「何だと!くっそ〜〜…土方さああぁぁん!!」
どんぐり
「…あーったく…テメー等休みの日ぐれぇ静かにしてたらどうだ」
「いいから早く!測って下さい!」
「はいはい…ホレ、背中付けろ」
「……背伸びするなよ総悟」
「そりゃこっちの台詞でさァ」
「おらっ、じっとしてろ!」
「「いてっ」」
土方は手馴れた様子で手持ちの煙草の箱を横に立てて、並んだ総悟との頭の上に水平に当てる。
「…総悟の方が親指の第一関節分ぐれぇデカイな。てか前と変わってねェよ!」
「えーーーーー!!!」
「当然でさァ」
「土方さんちゃんと水平に測りましたか!?」
「たりめーだ馬鹿。そもそもその歳にもなって身長なんてなァ一朝一夕じゃ伸びねぇよ!」
「俺の成長期は今なんです!今来てるんです!!年上の俺の方が小さいなんて許されて堪るか!!」
「だから伸びてねーっつうの。毎度毎度このためだけに呼ぶんじゃねぇよ」
「、怒ってると更に身長縮んじまうぜィ」
「えっマジ!?…てか元から縮んでねーよ!!」
「あーはいはい、いいから大人しく休んでろチビ共」
呆れた土方は、目線より下にある2つの頭を適当にあしらってその場を去る。
「ギャー!つむじ押さないで下さい!縮む!!」
「土方さん、複数形にしねぇで下せぇ。チビはだけでさァ」
「総悟も変わんねーだろ!」
今日はと総悟2人揃って、今年最後の非番。奇麗に晴れた年末の空の下、陽に当てられて暖まった縁側に似たようなシルエットが並ぶ。手持ち無沙汰に足をバタつかせていたが、あっ、と言って口を開いた。
「総悟総悟、お参り行かね?」
「…何で今日?」
「だって年末年始は警備で忙しいじゃん。行くなら今日だろ!」
「ああ、まあ…そうだねィ」
「そうと決まれば!明るいうちに行ってこよ!」
先に縁側から飛び降りたが総悟の手を引いて走り出す。屯所を出て数分、寺院に続く長い階段の前
「じゃあ一番上まで競争な!よーい…ってオイィィ!フライングかよ!!」
先に駆け出した総悟をが追う。けれど階段の中腹、言い出しっぺながら、情けなくもダウン。
「ううぅ〜いたたた…横っ腹がっ…」
「情けねぇなあ。それでも真選組かィ」
肩で息をしているに、少し上から戻ってきた総悟が手を貸す。
「うっさい…、うおっ、ちょ…!」
不本意ながらも手を取ったを、総悟が思い切り引っ張ってまた駆け出す。既に息の切れていたは、引っ張られながらも棒になった足で必死に駆けた。
「はい、とーちゃ〜く」
「…はぁ、はー…、きっつぅ…」
総悟の手から離れたの体が崩れ落ちる。呼吸に忙しくてこれ以上喋れない。
「訓練が足りねぇんじゃねぇのかィ」
「そっちが…、異常、だっつーの……」
の呼吸が落ち着くのを少し待ってから2人で本堂の前に立ち、手を合わせる。
「…何お願いした?」
「言わねェ。は背が伸びますように、だろィ」
「ちっ、違ぇよ!!」
「はいはい分かり易すぎ。ついでに体力が付きますようにーとも祈っといたらどうだィ」
「ムキー生意気!」
「さて、早いとこ帰ろうかねェ」
2人並んで階段を下り始めてからしばらくして、何か思いついた様子の総悟が速度を緩める。1段分先を行くに腕を伸ばして
「あー…これくらいだったらいいのにねィ」
「ん?」
が振り返った先には総悟の胸。総悟が見下ろす先にはの頭。
「んー…なんか変な感じ」
「慣れねェからなァ」
「な」
総悟の腕の中から抜け出したが、また一足先に下り始める。そのまま数段下りたところで、足を止めないまま、振り返らずにが言った
「なあ総悟。俺のお願い教えてやろーか?」
「何だィ急に」
「あのな、総悟の身長がずっと変わりませんように!」
「はァ…そりゃまた逆転の発想だねィ」
「そうじゃねえよ。俺の背もきっともう伸びないだろうし」
「…どういう事だィ?」
「だってさ、」
が足を止め、それに総悟が追いついたところで、
「この距離が、一番俺等らしいじゃん?」
「そうかねェ?」
「そうだよ」
なんで分かんないかなーと言いつつ、理解できない様子の総悟との距離を詰める。
「なるほどねィ」
お互いの間に残った僅かな距離を、今度は総悟が詰める。自然に離れたところで、
「納得?」
「そうさね」
だってきみの笑顔がこんなに近い。
present for GINTAMA BL DREAM festival !
コースケさん主催の「銀魂男主祭り」に投稿・掲載させて頂いたもの。
惜しまれながらもお祭りが終了しましたので、こちらに持って帰って来ました。
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2004/12/27 background ©ukihana