「退みーっけ」
「ああ、」
「隣いい?」
「どうぞ。も今日休み?」
「うん。だから暇でさー」
「そっか……あれ?…」
「ん?なに?」
「あ……いや、なんでもない」
smell
は煙草を吸わない。自分でも嫌いだって言ってたし。
…けど、そんなから煙草の匂いがする。
それは、つまり、そういうことで
真っ先に思い浮かぶのは愛煙家の上司だけど、彼だとは限らない。…考えたって分からない。
はもう鼻が慣れてしまったのか、自覚はないらしい。
僕からも何も言わない。
「くあ〜…眠くなってきた」
猫みたいにむにゃむにゃして欠伸を1つ。
眠たげに目をこしこし擦るから、腫れちゃうよ、と言って
「僕の肩でよかったら貸すけど」
「じゃあ借りる」
すんなり頭が乗っかって来たので、自分で言っておいてちょっと驚く。
肩の上で髪が揺れて、ああ、の香りってこんなだったっけって思い出す。
「…んー…退の匂いがする」
「……そう」
僕の匂いってどんなだろうって聞きたかったけど、
煙草の匂いに慣れたの鼻が自分の匂いを嗅ぎ取ってくれたのが嬉しくて。
「なんかねー…シャボン玉の匂い」
「………」
それってさっき洗い物の時に使った洗剤のことじゃ…
でも余計なこと言うと、この距離がまた離れてしまいそうで怖いから、何も言わずにおくよ。
耳元で落ち着いた寝息が聞こえ始めて、少し体の力が抜ける。
自分の声を聞いてほしいのか、聞かないでほしいのか、自分でもよく分からないけど、小さな声で
「シャボン玉みたいなのはだよ」
光に照らされて色を変えて、風に吹かれて行方を変えて、触れようとすると消えてしまう。
「…そうだ。今度シャボン液買ってくるから。そしたら一緒にやろうね」
面と向かって言えない僕はやっぱり臆病だけれど
君と、僕と、同じ香りに包まれようか
Skoop On Somebodyの『
Perfume Love』から色々妄想。知ってる人いると嬉しいなあ
これ嗅覚って事で、五感シリーズ!とかやりたいと思ってるんですが…次がちっとも浮かびません。
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2005/2/19 background ©m-style